「ブラッド・ブラザーズ」@青山劇場。

この作品は初見。全体には面白い作品だと思うし、予想以上には楽しんだのだけど、細かいところでいろいろと気になるところが……。ちょっともったいない感じ。
まぁ83年初演だけあってちょっと価値観が古くさいというか。「金持ちは幸せ」「貧乏人は不幸」というきっぱりした価値観って、いま現在じゃもう通用しないんじゃないかと。エディ(赤坂)のほうが、もっと母親に偏執的に束縛されてる感じがあったほうが、ラストでミッキー(坂本)が「俺がお前だったら」みたいなセリフを言うときにもっと皮肉に響いていいんじゃないかなぁと思ったり。それに、終盤でエディが抗鬱剤を飲んでいて、それをリンダ(篠原)に止められるんだけど……なんかこのへんで抗鬱剤を「クスリ」という名のもとに覚醒剤かなんかと混同してないか、というのが気になった。抗うつ剤で落ち着いてるんなら急に止めるのは危険だよリンダ! さらに「震えがとまんねぇんだよ」とイッちゃった目で演じる坂本くんの演技にもちょっとひっかかるモノが。まぁ抗不安剤の服用をやめて不安発作が起こったとかならまだわからんでもないけど、あの演技はどうも覚醒剤を切らしたジャンキーの演技に見えなくもない。その辺がちょっと……。
演出面について。照明とか美術とかもうちょっと丁寧に作り込めば、イイ雰囲気になったんだろうけど、ちょっと全体的に安っぽい雰囲気。あとやっぱりどうしてもメインキャストの演技トーンが全員バラバラなので、そこんとこはちょっと気になった。特に真琴つばささんをナレーター役にあてるのはどうだろう? 完全に「男役」として演出してるので、そこにちょっと違和感が。ヅカの舞台ならともかく、女を男として使う演出的意図がいまひとつ解せない……*1。しかも、ムダに(というのも失礼だが)華があるから、やっぱりこういう人は狂言回しみたいな小器用さの求められる役より、ドンと主役に据えたほうがいいんだろうなぁ、とちょっと思った。

詳細→http://www.fujitv.co.jp/jp/events/stage/st031004blood.html
1983年の初演以来、イギリスで現在もロングラン上演を続けるヒットミュージカル。リバプールを舞台に、対照的な境遇に生き、そして最後は同時に死んだ双子の兄弟の悲劇。
出演:坂本昌行島田歌穂真琴つばさ篠原ともえ前田美波里/赤坂 晃 他


*1:と思ったのだけど、夜に「モンテ・クリスト伯」を観たら、安寿ミラさんも汐風幸さんもあまり男役として違和感がなかったので、どうも真琴さんの演技に問題があるんじゃないかと思い始めた……