市川海老蔵襲名披露 五月大歌舞伎 夜の部

いやまぁ襲名披露初日だけあって雰囲気がすっかりお祭り。芝居ってよりイベントだね。ニュースでもやってたとおり小泉首相が来ていたので、東銀座の交差点が5分くらい通行止めでちょっと迷惑。ちょっとー、開演時間迫ってるんだから通してよぅ。いい加減しびれをきらして通行人全員で信号無視して横断、歌舞伎座前にようやくたどりついたら今度は小泉さんの入場でまた通行止め。ちょっとー、幕あいちゃうよー、三階席なんだよー、階段のぼるのに時間かかるんだよー、はやく入れてよー。と、ちょっと慌てて入場。
さて「碁太平記白石噺」は雀右衛門さんが休演で時蔵さんが代役。よく見たら雀右衛門さんと菊之助さんが姉妹という設定だったので、かえって時蔵さんでよかったかも。話は地味でちょっと退屈。でも田舎訛り丸出しの菊之助さんがちょっと可愛らしかった。
続いて口上。襲名披露の口上を観るのはこれが初めて。なんというか、「歌舞伎ってすごいなぁ、歴史と伝統ってすごいなぁ」と、単純に感心。客席が全体的に「成田屋さんの門出を祝いに集まった親戚たち」といった雰囲気。「若い頃は破天荒な言動で…」なんて口上が出てきたときの客席の笑いが、「親戚の息子さん」に対する笑いなんだよなぁ、どことなく。歌舞伎俳優とご贔屓ならではの雰囲気なのかな。口上だけ出演の雀右衛門さん、やっぱり体調がよくないのかな、ちょっとしんどそうに見えて心配。新・海老蔵さんは緊張していたのかそれとも幹部俳優の口上に感動したのか、ちょっと泣いているように見えた。にらみのところでは後ろで團十郎さんが心配そうに見守っている目が印象的。
勧進帳」は團十郎さん熱演。義経菊五郎さんで豪華だけど……もうちょっと若い人のほうが……? 上手側すみっこの席だったので、上手に立って下手のほうを向いている富樫(海老蔵)の顔があんまり見えなくて、残念。
「魚屋宗五郎」、なんか観た気になっていたけどこの演目観るの初めてだ、よく考えたら。三津五郎さん手堅く好演。


http://www.kabuki-za.co.jp/info/kougyou/0405/5kg_1.html
一、碁太平記白石噺(ごたいへいきしらいしばなし)新吉原揚屋の場

話題とみどころ
新吉原の大黒屋の遊女宮城野。廓の主人惣六に助けられた娘は、子供の時別れた妹信夫でした。父の敵を討つために奥州から江戸へ出てきた妹の話を聞き、宮城野も敵討ちへと出発するのでした。姉は吉原の全盛の花魁、妹は奥州訛で話す田舎娘という対照的な姉妹の再会が観客の胸をうちます。雀右衛門の宮城野、富十郎の大黒屋惣六、菊之助の信夫の、いずれも初役による見のがせない舞台です。


二、十一代目市川海老蔵 襲名披露 口上
出演:新之助改め海老蔵 雀右衛門 芝翫 富十郎 菊五郎 梅玉 團十郎 他 幹部俳優出演

話題とみどころ
鬘、裃姿の俳優が舞台に並び、襲名披露のご挨拶を申し上げる一幕。柿色に三升の紋の裃、まさかりの髷の新海老蔵が、成田屋の家に伝わる「にらむ見得」をご覧に入れます。


三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

話題とみどころ
歌舞伎十八番の中で最も上演回数の多い人気作。安宅の関守富樫左衛門は、やってきた山伏一行が義経主従と知りながらも、弁慶の主君を思う心情にうたれ、関所の通過を認めるのでした。現團十郎は、海老蔵襲名の歌舞伎座公演(昭和四四年)で富樫を勤めました。新海老蔵は、富樫(初役の平成十年一月浅草公会堂を含めて四回)、弁慶(平成十一年一月浅草公会堂)ともにすでに演じています。團十郎が弁慶、菊五郎義経を演じる大舞台で、新海老蔵歌舞伎座で初めて富樫を演じます。


四、新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)

話題とみどころ
魚屋宗五郎は、磯部主計之助の屋敷に妾奉公に出た妹のお蔦が不義の罪で殺されて悲しみにくれています。ところが、同僚のおなぎの話から、不義は濡れ衣と判明。怒りに燃える宗五郎は、酒に酔った勢いで磯部の屋敷に暴れ込むのでした。皿屋敷の趣向を借りた世話物の名作で、宗五郎の酒乱が一番の見せ場。三津五郎歌舞伎座で初めて宗五郎を演じ、芝雀の女房おはま、松緑の三吉、菊之助のおなぎという新鮮な舞台で、新海老蔵が磯部の殿様で当月の舞台を締めくくります。