劇団四季「アイーダ」

tcd2004-01-03

開幕したばかりの四季アイーダをさっそく観劇。入り口で大入り袋配布。中身はおみくじ。吉だった。さて作品は、さすがBWの人気作品だけあってよくできてた。初日とほぼ同じと思われる“四季的ベストキャスト”で観られたし。大味なストーリーのオペラ版に比べるとアイーダとラダメスが惹かれあっていく過程や、アムネリスも含めた三者三様の感情がきっちり描かれていて、とても解りやすくドラマティック。ただ前半が丁寧なわりに、後半はいきなりスピードアップしてエピソードが単純になっていく。終盤の展開はヅカ版のほうが面白かった気も……もう一盛り上がり欲しかったなぁ。オペラでは見せ場にあたる仰々しい凱旋シーンは全部カットされていた。まぁ確かにストーリー的には必要ないかも。
ポップアートのような舞台美術、オペラの仰々しい美術と正反対で、これはこれで素敵。ホリゾント&シルエットの多用は「ヴォイツェク」を思い出したり、アフリカの大地を表現するところでは「ライオンキング」を思い出したりしたけれど。ディズニーミュージカルだと思って油断して子供を連れて行くと、一瞬ひやりとするような濃厚ラブシーンもあり。大人の目にはどってことない程度の絡みで、しかも一瞬なんだけど……でも後ろの席の小さい子供達をつれた両親が少し凍り付く気配を感じた。
しかし、あの歌い出しと音響のタイミングを合わせるのはさぞ難しいだろうなぁ。それでもオケがテープ*1の割にきちんとあわせていて感心した。が、せっかくエモーショナルなナンバーが多いのに、テンポが正確すぎて役者が自分の感情で歌えないのは残念な気も。せっかく大阪で初演するなら生演奏にもこだわってくれと思った。
まぁ、それなりに満足はしたけれど……しかし、女性ミュージカルファン的にはいまひとつかゆいところに手の届かない仕上がりでもどかしさもアリ。せっかく女子ミュージカルファンがリピートしまくる要素が高そうな脚本&構成だというのに、そこがちゃんと生かされてなかったのが残念。ラダメスの父・ゾーザー宰相が、詰め襟の軍服をイメージしたような制服(しかも上着の裾がキレイに翻るデザインなんですわ、これが)を着たダンサーを大勢引き連れて登場する場面があるのだけど。この“ゾーザーダンサーズ”の群舞(曲名でいうとAnother Pyramidの場面)は絶対に女子ウケするシーンに違いないので、もうちょっと手足が細長くてタッパがあって軽々と踊れるダンサーを、ビジュアルにこだわって選んで欲しかった(歌なんか歌えなくても影コーラスでいいよ!)。そうすればこの場面だけを目当てにリピートするファンが多発する可能性だってあるのに……奴隷役もやるアンサンブルに兼ねさせてはいけないんじゃないかと……。まぁ皆さん頑張って踊ってらっさるんだけど、「一生懸命!」な感じが出てしまって余裕がないんだな。まぁ、まだ幕が開いたばかりなので仕方ないのかも。ゾーザーさんもせっかくだからもうちっとワルくて色気があって存在感の濃い人にやって欲しかったなぁ。正直、小物感が否めない(歌に入る直前に拍で刻んだようなセリフの言い回しになってたのは生演奏じゃないから仕方ないとは思うけど……)。
アイーダ役の濱田めぐみさんは迫力あって素敵。今回唯一満足なキャスト。ラダメスの阿久津陽一郎さん、決して悪くはないんだけど、もう少し「聡明な将軍」と「恋に不器用な男」の落差があれば女子のハートにぐっと来るのになぁと思わんでもない。アムネリスの佐渡寧子さんはまぁまぁかな。高音にもっと声量があればいいんだけど。新国のオペラ版だともうただの悪役でしかなかったアムネリスが、キュートで魅力的なキャラクターになっていた。新国・ヅカ・四季のそれぞれのアイーダで一番解釈が違うのがこのアムネリス役だった気がする。

詳細→http://www.shiki.gr.jp/applause/aida/index.html
【スタッフ】

【キャスト】

  • アイーダ濱田めぐみ
  • アムネリス:佐渡寧子
  • ラダメス:阿久津陽一郎
  • メレブ:山添 功
  • ゾーザー:飯野おさみ
  • アモナスロ:川原洋一郎
  • ファラオ:岡本隆生
  • 男性アンサンブル:脇坂真人、大塚 俊、広瀬幹夫、吉元和彦、秋山光二、影山 徹、ショーン・R・ペリー、登坂良樹、宮河愛一郎
  • 女性アンサンブル:石倉康子(ネヘブカ)、五辻彩子、今井美範、遠藤瑠美子、加藤久美子、柴田桃子、伊藤杏奈井上麻美、上延 綾、梅原美穂

あらすじはこちら→http://www.shiki.gr.jp/applause/aida/story.html

*1:多分テープじゃなくてデジタル音源だろうとは思うけど、つい3年前くらいに静岡でオペラ座の怪人を観たとき、オペ席からオープンリールでもつかってんのかと思うような大きな操作音が聞こえて「おいおい」と思った覚えがあるので油断できない

松平健新春公演 暴れん坊将軍スペシャル「唄って踊って八百八町〜フィナーレ・マツケンサンバ」

当日券で3階席から観劇。2階席はガラガラ、3階席も4割程度の埋まり具合。おそらく団体かと思われるエリアを除けば、B席はほんの十数人くらいしかいなかったような。
普通は商業演劇といえば「一部・お芝居、二部・歌謡ショー」という構成になるんだろうけれど。今回は芝居の中に歌が入る「音楽劇?」な造りになっていて、歌謡ショーは最後の15分程度だった。
まぁ「マツケンサンバ」目当てで見に来たとはいえ、暴れん坊将軍はやや退屈。うぅ、このキャストと展開では一時間が限界だなぁ。二時間以上やるならもうちょっと見せ場作ってストーリーきっちり盛り上げてくれないと。オープニングがいきなり上様の殺陣で、おなじみの「♪ちゃーららー ちゃらーららー ちゃーらーらー ららー♪」というテーマソングが流れたときは一瞬「おぉぉ!」とか思ったけれど。そこだけだった。ショーもなんだか生ぬるい構成。うーん、おばさま向けの商業演劇だと、梅沢武生劇団明治座公演とかはもうちょっと楽しかったんだけどなぁ。もーちょっとなんとかなるんじゃないかと。
まぁラストの「マツケンサンバ」はそれなりにゴージャスで楽しかったけど、この5分間のために5000円はちょっと高い。改めて宝塚や新感線は面白いんだなぁと実感した。

詳細→ http://www.koma-sta.co.jp/kouen/osaka/1_kouen.html

【解説】
テレビの人気時代劇として25年間にわたって放送され、親しまれてきた『暴れん坊将軍』。2003年4月に放送回数830回をもって番組はひとまず終了しましたが、新春の梅田コマで華麗に復活!
 芸能生活30周年を迎える松平健が構想をあたためてきた『暴れん坊将軍』の集大成が、吉宗の活躍を描く痛快無比の物語に、唄と踊りを巧みに取り入れた音楽劇として実現します。題して『暴れん坊将軍スペシャル 唄って踊って八百八町〜フィナーレ・マツケンサンバ』。
 江戸城内・桜の庭で、吉宗が目にした不気味な巡礼の一団。その巡礼の唄が気にかかった吉宗は旗本の三男坊・徳田新之助に姿を変えて探索を開始。おりしも江戸の町ではあいつぐ火事に端を発する材木問屋への疑惑を探る瓦版屋とそれに関わる踊りの一座、そして廻船問屋や役人までを巻き込む陰謀に、吉宗が敢然と立ち向かいます。
 1978年から演じ続けている徳川吉宗と徳田新之助松平健は今回も颯爽とした姿と円熟の演技でお客様を魅了します。また、この作品のために書き下ろされた数々のオリジナル曲を唄い踊り、もちろんクライマックスの大立ち回りでは、豪快な殺陣を披露します。
  共演に、浦賀奉行・安藤甲斐守に扮する浜畑賢吉、安藤と手を結ぶ廻船問屋・南蛮屋に近藤洋介、新之助に協力する瓦版屋・お咲の熊谷真実とお夏の大鳥れいをはじめ、太川陽介浅利香津代、園田裕久、仁藤優子山村紅葉、芦屋雁平ら芸達者な顔ぶれが揃い、充実した演技で舞台を盛り上げます。
 物語が大団円を迎えた後のフィナーレは、従来は松平健のショー「唄う絵草紙」でしか観ることの出来ない知る人ぞ知る曲でしたが、一昨年大晦日のテレビでOA以来、テレビ、ラジオ、雑誌等各ジャンルからの取材が続いている、話題沸騰の「マツケンサンバ」が出演者全員で豪華絢爛に繰り広げられる興奮のステージ。
 松平健が多彩な共演者と共に、梅田コマの新春を賑やかに彩る痛快娯楽時代劇の決定版と華やかなショー・シーンが鮮やかに合わさり、圧巻の「マツケンサンバ」でお客様を興奮の渦へと誘う『暴れん坊将軍スペシャル 唄って踊って八百八町〜フィナーレ・マツケンサンバ』にご期待ください。