宝塚花組全国ツアー公演@市川「琥珀色の雨にぬれて/Cocktail」

どうしても春野寿美礼さんを観たくて思わずツアー公演にまで行ってしまった……ああ、ヅカファンと言われてももう否定できないな。しかしさすがツアー公演、やっぱりセットがショボい……。それにバウホール日本青年館で同時上演中の特別公演「二都物語」のほうに瀬名じゅん、彩吹真央といった二番手・三番手クラスがもってかれてるので、ちょっと中間層が薄い感じも。やっぱりこういうのは役者のファンが観るものだな、作品としては大劇場の公演と比べちゃうとどうしても物足りない。
琥珀色の雨にぬれて」は今の花組でやる公演かなぁ? ああいう「マジメで優柔不断で不器用」なキャラはどうも春野さんに似合わないような。エリザベートのトート役があまりに印象強すぎるのはしょうがないけど、「野風の笛」の時も良かったし、ああいう迷いのない凛とした役のほうが似合う気がする。それってファンの願望かしら。でも、優柔不断だったり悩んだりする役は、どっちかっていうと月組紫吹淳さんとかのほうが似合ってる気がする、個人的には。しかもふづき美世さんの「魔性の女」も今ひとつ説得力がないし。魅力的というよりはタダのイヤな女……。ついついクロードの婚約者・フランソワーズのほうに感情移入してしまう。それではこの話って成り立たないのでは。あ、そういえばフランソワーズ役の遠野あすかさんって「エリザベート」のヴィンディッシュ嬢演じたあの子か。どおりで上手いと思った。
レビュー「Cocktail」もやっぱり大劇場でみたかったなぁ。黒燕尾のシーンとか、もっと大人数&大階段で観たかった。やっぱり全体的にスケールダウンしてるのは否めない。やっぱりあっちこっちのホールでやるとなったら階段は4〜5段が限界なのね……。それにしてもサザンの曲が3曲くらい使われてたのには笑った。春野さんの歌う「エロチカセブン」が聞けただけでもある意味行ったかいはあったかも。あと長渕剛の「乾杯」もすごかった。なんてったってリズムは「ボレロ」だし。ボレロのパーカッションパートのリズムにのせて「乾杯」歌うなんて、一体世界中のどこのショーでやってるっていうんだ……宝塚だけだこんな無茶するの。なんかスゴイもの観た気分。

詳細→http://kageki.hankyu.co.jp/revue/0310hana3/index.html

ミュージカル・ロマン『琥珀色の雨にぬれて』
作・演出:柴田侑宏、演出:正塚晴彦
解説
 1984年初演、2002年に花組により再演された作品。
 戦火の中をくぐっても、純粋さを失わない青年クロード・ドゥ・ベルナール公爵と色濃い魔性の女シャロン・カザティ(マヌカン)との恋。そして青年を慕う少女フランソワーズ・ドゥ・プレールと、魔性の女に惚れるジゴロのルイ・バランタン。1920年代の爛熟のパリを舞台に、4人の男女が織り成す愛のアラベスクを描いたフランス映画風心理劇。
キャスト
クロード:春野寿美礼シャロンふづき美世/ルイ:蘭寿とむ/フランソワーズ:遠野あすか


レビュー・アラモード『Cocktail』−カクテル−
作・演出:藤井大介
解説
 2002年に花組により上演された作品。
 疲れたとき、悲しいとき、人はカクテルを飲む。楽しいとき、幸せなときもまた、人はカクテルを飲む。どんなときにも様々な夢を見せてくれるカクテル。
 一夜の夢、一夜の幻、一夜の芳香な味・・・
 様々なカクテルから受けるイメージをドラマチックに、また美しく綴ったレビュー作品。