三人吉三巴白浪

正直、「玉三郎さんのお嬢吉三だもの、悪いわけがない」と思って期待していたのだけど。「大川端」の玉三郎さん……初役とはきいていたけけれど、正直ぴんとこない。ここの面白さって、女形の姿で急に言葉使いが男に変貌するあたりのギャップにあると思うんだけど。玉三郎さんは男というより、「清楚な若い娘」が「口の悪いあばずれ」に変わった程度の変化にしか感じられなくて……正直、コクーン歌舞伎で見たときの福助さんのほうが(いい意味で)下品で良かった。仁左衛門さんや団十郎さんは、まぁ、予想の範囲内かな。フツーにいい。
その代わり「吉祥院」以降はかなり良かったと思ったけれど。なんつったってお嬢吉三とお坊吉三が寄り添うあたりの恋愛感情は「さすがニザ玉!」って感じだし(それでもやっぱり同性愛というよりは男女の恋愛に見えちゃうんだけど)、「火の見櫓」で捕り手のお縄にかかったお嬢の悶絶っぷりといったらやっぱりゾクゾクするような美しさだし。立ち回りも見応えはあったけれど……うーん、総合的にはコクーン歌舞伎の時のほうがカタルシスあったな、やっぱり。玉三郎さんのお嬢に期待していただけに、ちょっと残念。
疲れたので「仮初の傾城/お祭り」見ないで帰ってしまった。時蔵さん、三津五郎さん、すみません。

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三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)

  • お嬢吉三    玉三郎
  • お坊吉三    仁左衛門
  • 手代十三郎   翫 雀
  • 伝吉娘おとせ  七之助
  • 堂守源次坊   市 蔵
  • 釜屋武兵衛   松 助
  • 捕手頭長沼六郎 家 橘
  • 八百屋久兵衛  吉 弥
  • 土左衛門伝吉  左團次
  • 和尚吉三    團十郎
話題とみどころ
「月も朧に白魚の・・・」のお嬢吉三のせりふで有名な、退廃色漂う河竹黙阿弥の白浪(盗賊)物の名作。玉三郎初役のお嬢に、仁左衛門のお坊、團十郎の和尚。豪華な配役で、呪われた因果物語を通しでご覧いただきます。

[両国橋西川岸]手代の十三郎は、夜鷹のおとせと遊んだ際に店の金百両を落としてしまい、身投げする覚悟で両国橋にやって来ますが、通りかかったおとせの父の土左衛門伝吉(左團次)に、その百両ならおとせが拾ってきたと教えられ、喜んで土左衛門の家へ向かいます。

[大川端庚申塚]十三郎が落とした百両を本人に届けようと大川端まで来たおとせは、八百屋お七を気取った女装の盗賊お嬢吉三(玉三郎)にその百両を奪われ、大川に突き落とされてしまいます。それを見ていたご家人崩れの盗賊お坊吉三(仁左衛門)は、お嬢から百両を横取りしようとしますが、そこへ吉祥院の所化上がりの盗賊和尚吉三(團十郎)が来て仲裁に入り、百両を預かったうえ、三人義兄弟の契りを交わします。

[割下水伝吉内]溺れたところを助けられたおとせが家に戻ると、そこには十三郎が。二人は喜びますが、実は十三郎は伝吉が捨てた実子で、おとせとは双生児。伝吉は運命を呪います。

[本所お竹蔵]伝吉のもうひとりの息子である和尚が持つ百両は、和尚から伝吉を経て、図らずもお坊吉三の手元へ。その百両を貸して欲しいと頼む伝吉を、お坊は斬り殺してしまいます。

巣鴨吉祥院本堂]追われる身のお嬢とお坊は、和尚のいる吉祥院へたどり着き、初めて伝吉が和尚の父であり、おとせが和尚の妹であったことを知り、死のうとします。

[裏手墓地・元の本堂・本郷火の見櫓]和尚は、畜生道に落ちた十三郎とおとせの首をはねて、お嬢とお坊の身代わりとし、二人を逃がしますが・・・。