宝塚雪組東京特別公演「送られなかった手紙」

帝政ロシアが舞台だとかで、見た目は割とヅカらしいコスプレ作品。でもストーリーは「なぜこれをミュージカルで?」と思うような地味な話。主人公が次々と左遷されていくといった不遇な物語なので、もっと苦悩する顔やアンニュイな顔が似合う役者で観たい演目だったかも。これが初主演という壮一帆さん、まぁ悪くはないけど、この芝居がハマリ役とは思えなかった。次はもうちょっと明るい役で観てみたいかな。
ダンテス役の箙かおるさん、ある意味別ジャンルの存在感。「ああ、エビーラだ! エビーラだ!」と同僚とはしゃぎながら見守っていたけれど、主演のドミトリーと箙さんのダンテスの役は、W主演で若手ふたりでやってもよかったんじゃないかともっぱらの意見。
そういや途中でキャンディードの「The Best of All Possible Worlds」に全然違う歌詞のせて使ってたけど、いいのか、あれ……著作権的に。

http://kageki.hankyu.co.jp/revue/04/02_2snow/index.html
バウ・ミュージカル「送られなかった手紙」
作・演出:太田哲則
公演期間:2月14日(土)〜 2月20日(金)
20世紀の初め、引退した医師セルゲイのもとを、一人の画学生が訪れる。かれは、シベリアへのスケッチ旅行の折にアトリエに借りた廃屋で、数通の手紙を見つけ、その宛名の一人であったセルゲイに届けに来たのだった。差出人のルイスというのは仮の名前で、実はセルゲイの甥ドミトリーであった。その夜、ドミトリーのことを思い出し眠れなくなるセルゲイは、その理由を探ろうとする。すると、彼の脳裏にかつてドミトリーの友人・知人であった人物達が次々に登場し、ドミトリーの生涯を振り返り、話し始める。
モスクワの名門学校を優秀な成績で卒業したドミトリーは、詩人としての才能にも恵まれた、好奇心旺盛な若者であった。しかし、それゆえに、自由思想など新しい時代の空気に触れた彼は、皇帝の専制政治を批判する詩を書き、ロシア南部へ左遷される。
そこで、将軍令嬢マーリヤに再会した彼は、彼女に心惹かれるが、彼女は、彼が一ヶ所にとどまれる人ではないと、その求愛を退ける。
田舎町の単調な日々に、自堕落な生活を送るようになった彼は、以前に書いた詩のために、皇帝を打倒しようとする勢力との関係を疑われ、シベリアへ送られる…。
魂の遍歴の果てに、ドミトリーが求めたものは何だったのか…。20世紀初頭の帝政ロシアを舞台に、様々な人たちの証言から、送られなかった手紙を書いた男の、心の秘密を探る物語。
壮一帆の、バウホール単独初主演作品。