ク・ナウカ「ウチハソバヤジャナイ」

うーん。やっぱりケラさんの作品はケラさんの演出で見るのが一番面白いなーと再認識。そして「ウチソバ」の戯曲としての面白さとナイロンの役者の巧さも再認識したのだけど、このクナウカ版の演出はどうだろう……。笑いに転化しきれてない部分が多かったような気が。
こちらのウチソバは、ブルースカイ版と違って戯曲にほぼ忠実。前半は宮城聰氏が自ら「ク・ナウカ演出」のセルフパロディをやっちゃってる感じ。出てくる衣装とか、過去作品で観たことあるものばっかりだし。「エレクトラ」のオープニングとかそのまんま劇中でやっちゃってたりしたから、懐かしかったけど。でも「ウチソバ」をそれでやるのはどうなんだろう……。うーん。最初のディスコの場面(男が女をナンパしようとして「なんだバカか!」と去っていくところ)いかにもク・ナウカっぽい民俗音楽調の太鼓のBGMで、「クラフトワークっていいよね」とか言い出した時には「おいおいそれがクラフトワークかよ!」と思ってちょっと笑っちゃったけど。でも、ちょっとク・ナウカの役者は真面目すぎて、ナンセンスな間はうまく取れてないように感じられた。スライドにつっこみいれる場面とかも、「ああ、違う違う、ちょっとハズしてる」って感じだったし。なんだかどうしてもナイロン版と比べてしまって、「そこはもっとこういう間で!」とむずがゆくなる感じがずっとつづいてしまった。後半は衣装を白一色にして、前半に比べればフツーに「ウチソバ」やってる感じではあったけど、やっぱり全体的に間の悪さは否めなかった。ヤン先生とかアルジャーノンとかはやっぱり今江冬子さんや犬山犬子さんじゃないとダメだぁーーっ、と、ラストシーンをみながらぼんやり考えてしまった。

http://www.kunauka.or.jp/jp/uchisoba0403/info01.htm

  • 作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
  • 演出:宮城聰(前半)、外輪能隆(後半)
  • 出演:阿部一徳 吉植荘一郎 野原有未 稲川光 片岡佐知子 加藤幸夫 桜内結う 牧野隆二 奥島敦子 佐々木リクウ 高橋昭安 たきいみき 山本智美 杉山夏美 日比大介(THE SHAMPOO HAT)

一本の芝居を前半後半全く異なるスタイルで演出。関西の奇才外輪能隆の情け容赦ない挑戦を受け宮城の演出家生命、危うし。どうなる、二人一役!