新国立劇場バレエ「ロメオとジュリエット」
いやはや、フェリ&コレーラの組合せで観ようと思ったら、新国の会員先行で撃沈しまくりという憂き目にあった。もしかしたら今年の取りにくいチケットベスト3に入るくらいだったかも。ものすごい人気なんだなぁ……。結局、一般発売の日に会社のバレエファンの子が徹夜して取ってくれたのが1階4列目センターだったので結果オーライ。ダンサーの細かい表情までよく見えて、楽しかった。感謝しなくては。
数日前にこの舞台のCD買ってからずっと繰り返して聞いていたのだけど、プロコフィエフの音楽が結構好み。「シンデレラ」の時も良かったし、もしかしてチャイコフスキーより好きかも。舞台美術はまぁ書き割り中心でフツーだったけれど、くすんだ色合いの衣装は結構好きかも。ただ二幕で出てきた道化(?)が、全身に赤い毛みたいなのをつけていて、まるでポンキッキーズのムックみたい。この衣装だけは謎だった。あとロメオの白タイツだけはなんとかならんかなぁと思わないではなかったけれど、こればっかりはどうしようもないんだろうなぁ。
人海戦術で舞台いっぱいに人が踊る光景は見ていて楽しい。「マノン」の時ほどアクロバティックな振付はなかったけれど、ストーリー中心で話が展開して、あんまりとってつけたようなソロがないのもいい。お客さんも心得ているのかいちいち拍手しないのが煩わしくなくて良かった。生オケでこの内容だったらS席1万円は決して高くない。満足。
アレッサンドラ・フェリ、最初にでてきたときにめちゃめちゃ若くみえて驚いた。カーテンコールの時にみたら年齢相応のビジュアルだったんだけど、一幕ででてきたときはほんとに10代くらいのきらきらした感じに見えたから驚き。初々しくて初恋に戸惑う雰囲気がいじらしくて、なんかもう本当に可愛かった。アンヘル・コレーラは「ジュリエット大好き! ぼく飛んじゃうよ! みてみて、こんなに回っちゃうよ!」って感じの笑顔が微笑ましかった。マキューシオの吉本泰久氏、「ああ、なんかインチキ臭い笑顔がまるで久ヶ沢徹さんにそっくりだ」などと思いながら観ていたのは多分私だけだろうなぁ。ロメオ・マキューシオ・ベンヴォーリオの三馬鹿トリオ……もとい、3人のダンスがそろっていなかったのがちょっと残念だった。振りはともかく立ち位置くらいはちゃんとシンメトリーにしてくれと……。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/s217/s217.html
- 振付:ケネス・マクミラン
- 作曲:セルゲイ・プロコフィエフ
- 演出:ジュリー・リンコン
- 監修:デボラ・マクミラン
- 指揮:アンソニー・トゥイナー
- 舞台美術・衣裳:ポール・アンドリュース
- 照明:沢田祐二
- 舞台監督:森岡 肇
- 装置・衣裳提供:バーミンガム・ロイヤルバレエ
- 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
- ジュリエット:アレッサンドラ・フェリ
- ロメオ:アンヘル・コレーラ
- マキューシオ:吉本泰久
- ティボルト:ゲンナーディ・イリイン
- ベンヴォーリオ:マイレン・トレウバエフ
- パリス:森田健太郎
- キャピュレット卿:本多実男
- キャピュレット夫人:楠本郁子
- 乳母:大塚礼子
- 解説
- 若さゆえの穢れなき一途な恋を描いたシェイクスピアの悲劇『ロメオとジュリエット』は、誕生から400年あまりを経た現代も人々の心を惹きつけてやみません。この永遠のラブストーリーを、新国立劇場バレエでは英国の名振付家ケネス・マクミランの版で2001年10月にレパートリー化しました。1965年ロンドン初演、マクミランが初めて手がけた全幕バレエであるこの作品は、プロコフィエフの起伏に富んだドラマティックな音楽と相乗して原作のエッセンスを余すところなく表現し、数あるヴァージョンの中でも決定版と高い評価を得ています。
ロメオに抱かれたジュリエットのしなるような肢体が恋の喜びを高らかに謳い上げ、この若い恋人たちを軸として、愛、喜び、憎しみ、怒り、悲しみといった人間の様々な感情のほとばしりを巧みに昇華させたマクミランの振付は、言葉よりも雄弁に観る者に訴えかけます。
大好評にお応えして早くも再演となった今回も、多彩なキャストでおおくりします。
2003年秋に同じくマクミラン振付の大作『マノン』上演を経て、表現にもいっそう深みを増した新国立劇場バレエ団が創り上げる感動の物語。前回ご覧になっていない方も今度こそお見逃しなく。ときめきは、いつしか炎となって・・・