「ウーマン・イン・ブラック」

この舞台は初見。1999年の上演のときは、観たかったけれど上川隆也氏人気が最高潮の時だったので、まるでチケットが取れませんでした。今回は意外に空席がある模様。てっきり即完売だと思っていたのでちょっと意外(売り切れてると思ってる皆様、まだ全然チケットありますよ)。
劇場の額縁もきっちり美術でクラシックに作り込んでるのがいい。こってこてのゴシック・ホラーだけど、作品そのものはオリジナル・カンパニーの演出家が手がけてるだけあって完成度高し。怖がらせつつも所々に笑いを入れて緩急つけた演出は観ていて心地良い。ただまぁ、そもそもの設定(老弁護士が劇場でかつての出来事を再現しようとする動機)にいまひとつ共感できないものの、そこさえ気にしなければまぁまぁ楽しめる。
ただ、お客さんの反応が良くも悪くも過敏なのが……。脅かしどころで悲鳴が上がるのはいいんだけど、その直後に照れ隠しみたいに笑ったりざわついたりするから、そこでせっかくの緊張感がとぎれてしまうのが残念。客の反応によっては舞台そのものが台無しになるかも……という気もした。
そうそう、これから見に行く方はお腹が空かないようにお気を付けを。観客の集中力が高くて劇場が異常に静かなので、お腹がなると周りに丸聞こえです。

詳細→http://www.parco-city.co.jp/play/woman_in_black2003/moreinfo.html
原作:スーザン・ヒル
脚色:スティーヴン・マラトレット
演出:ロビン・ハーフォード(ロンドン オリジナルカンパニーより)
出演:上川隆也斎藤晴彦

Story
 物語は現実と重なる劇場という設定で始まる。ただし、観客のいない劇場。忌わしい恐怖の体験をした中年弁護士キップスと彼に雇われた若き俳優が、かつてキップスが遭遇した数々の出来事を再現してゆく。キップスは若い頃、顧客の老婦人の葬儀、遺産整理の為に、人里離れたイギリスの片田舎に向かった。しかし、地元の人々は、彼女の名を聞くだけで震えあがり、彼を遠避ける。彼女が住んでいた館は、海霧が晴れたときにしか訪れることが出来ない、イールマーシュの館。身寄りのなかった彼女の葬儀にたったひとり参列したキップスは、墓地でやせ細った黒い服の女を見かける。その夜から、彼に次々と不可解で、奇妙な出来事が襲いはじめる。そして、最後は場内を騒然とさせる結末が…。